
グラスリッツェンQ&A どんなガラスにも彫れますか?part1
工房Sorriso,木下浩子です。
初めてグラスリッツェン作品をご覧になる方の中には、
専用のガラスがあると思っていらっしゃる方も、おいでになります。
それも当然かもしれませんね。
まず、自分でガラスに模様が彫れる事など思いもよらない方が
おおかたでしょう。
次に、グラスリッツェン作品をご覧になって、
「わぁ、素敵ね~と」感じても、何か特殊なガラスとか道具が必要なのでしょう?
と思われるかも知れません。
それほどガラス工芸って、ハードル高く感じがちです。
(そんなことないのですよ~。グラスリッツェンは専用のペン1本で始められます)
そして、始められた生徒さんがまず疑問に思うこと。
それは・・・。
もっと色々彫ってみたいけれど、自分の家にあるガラスにも
彫って大丈夫なんだろうか?という疑問。
その答えは・・・Yes!
道具の針先がダイヤモンドなので、ほとんどのガラスに彫れます。
なので家にあるガラス器にも彫れるのです。
一番彫りやすくて美しく仕上がるのは、鉛の含有量の多いクリスタル製のガラスです。
現在は鉛の含有量が10パーセント前後の製品が多くなっていて、(セミクリスタル)
それをクリスタルとしている事もある様です。
ですから、鉛の含有量24パーセント以上の最上級のものをわざわざ「本格クリスタル」とよんで
(デパートなどでワイングラスに小さなシールが貼ってあるのを見たことがありませんか?)
区別しています。
鉛の含有量10パーセント前後の「セミクリスタルガラス」でも充分美しいです。
実際、私にもシールの貼ってある本格クリスタル以外は、ランクの見分けがつきません。
ただ、本格クリスタルのものは高価ですね。
私は、クリスタルかどうかにこだわらず、
カタログやネットで好みのガラス器を見つけたら、
取り寄せて実際に彫ってみています。
100均で売っているガラスや、雑貨やさんで求めたガラスに彫ることもありますよ。
それら一般的に売っている食器や瓶でお手頃価格なものは、ソーダガラスのことが多いですね。
意外に、「お値段の割に彫りやすい」という物もあります。
それで、自分の家にあるガラスにも彫れるか?という質問に戻りまして・・・
ソーダガラスやクリスタルなど、ほぼどんなガラスでも彫れるという事で、
「家にあるガラスでも彫れますよ」というお答えになります。
では、針先がダイヤモンドだからどんなガラスにでも彫っていいのか?
と言ったら、それはまた別のお話。
彫るのに向かないガラスの例
牛乳瓶・ビール瓶・ワインボトルなど、繰り返し利用したり、丈夫さを念頭に作られたもの。
自動食器洗い機用の業務用強化ガラス
これらは、針が消耗するばかりでなかなか彫れず、彫れたとしても模様が目立ちません。
*強化ガラスは、物理強化あるいはイオン強化でガラス表面に圧縮応力層をつくり
ガラスの強度を高めています。よく口部強化ガラスなどど書いてあるものが売っています。
(耐熱ガラスとは違います)
衝撃や力に対する強度を強めてありますが、傷がつくと弱くなりますので彫らないでください。
あとは、
濃いブルーや赤に着色したガラスも、そのままでは彫った模様は目立ちません。
(色被せガラスやラスター彩など、コーティングしたガラスは除きます)
*上級者になると、彫った部分にアクリル絵の具や、金・銀の絵の具などを埋め込むなど、
色ガラスを活かした作品を制作される方もいらっしゃいます。
下は700~800円で買える雑貨やさんの蓋物ガラス。
少々硬いですけれどね。
(最近似たものを100均で見つけてびっくりしました!)
駄菓子屋さんの入れ物の様な瓶を見つけました。(これ100均です)
人気の素材なのか残り少なく、あるだけ3つ大人買い。^^
和のハーブ3種を彫ってみました。
右からご存じドクダミ・・・その名の通り、昔から毒消しとして使われてきました。
真ん中は、枇杷(ビワ)・・・打ち身やあせもに。
左は、南天萩(ナンテンハギ)・・・めまいや疲労回復に。
やはりちょっと硬かった~
厚みのあるソーダガラスなどは、繊細な図案やデリケートな表現は難しいと思いますが
気に入ったデザインなら、彫ってみるのも良いと思います。
ただし、硬いガラスを彫る時には、新しい針を使うのは控えましょうね。
切れが悪くなります。
柔らかくて彫りやすく、彫った模様も美しいのはクリスタルガラス
その次にセミクリスタルガラス(ほとんどクリスタルと見分けがつかないかも)
一般的に売っているソーダガラスでも、充分彫れる(ただし硬いものは、針が消耗するので注意)
彫るのに向かないのは
牛乳瓶・ビール瓶・ワインボトルなど、繰り返し利用したり、丈夫さを念頭に作られたもの
自動食器洗い機用の、業務用強化ガラス
着色されたガラス(うすいピンクとか、みずいろなどは可)
ガラスってどれも硬いんじゃないの?と思われるかも知れませんが
色々な素材のガラスに彫ってみると、「これは彫りやすい」「この素材は硬い」
という感覚もわかるようになりますよ。